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文学部長挨拶

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文学部の近況

文学部長 遠城 明雄

文学部同窓会会員の皆様、いかがお過ごしでしょうか。日本では地震や豪雨、山火事など災害が頻発し、また国際情勢では暴力による支配が世界の秩序を揺るがしております。こうした状況に対して、人文学独自の視座からの問題提起が、これまで以上に求められているようにも思います。

昨年度に引き続き、文学部長として遠城、副研究院長として青木博史教授(国語学・国文学)、片岡 啓教授(インド哲学史)の三人の体制で、文学部を運営しております。引き続きご支援をよろしくお願い申し上げます。

すでに報道などでご存知の皆様方も多いかと存じますが、九州大学は「国際卓越研究大学」(第二期)に採択されませんでした。個人として、国立大学法人制度以降の高等教育政策に対しては、疑問や矛盾を感じることが多く、今回もその不信感が増幅するだけでした。ただ、部局の枠を超えて行われた話し合いの中で、大学および社会における人文・社会系の学問の位置や役割を真摯に討議できたことは、今後の文学部の在り方を考える上で、貴重な体験だったのではないかと思っております。

なお、厳しい財政状況の折、二〇二四年度末に学生の修学・研究環境の充実を目的として、「人文学教育・研究のための支援基金」を設立いたしました。これは文学部に直接ご寄付をお願いするもので、ホームページをご覧いただければ幸いです。厳しい経済状況ではありますが、皆様方のご協力をお願い申し上げる次第です。

人文科学研究院では、二〇二二年度から六年間に渡って、文部科学省大学教育再生戦略推進費「デジタルと掛けるダブルメジャー大学院教育構築事業 ~Xプログラム~」の助成を受けております。これは、大学院人文科学府と統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻が連係して、新たに「人文情報学(デジタルヒューマニティーズ)」の修士課程を設置するもので、二〇二五年四月に新入生を迎えることができました。人文情報学に関しては、全国規模で関係機関のネットワーク作りが進められており、共同研究の取り組みも増加しております。今後、人文学とデータサイエンスを含む情報管理学の教育・研究を融合させることで、高度人文情報人材を養成すると同時に、これまでの人文学の知の蓄積を未来につないでいく使命を果たす一端になれば、と考えております(https://dh.kyushu-u.ac.jp/)。

さて、例年に則って、二〇二五年の文学部および人文科学府の近況をご報告いたします。

二〇二五年三月に、百四十九名の学士課程卒業者と二十六名の大学院修士課程修了者を送り出しました。ビッグスカイ(生協)で開催した祝賀会には、倉富史枝会長にもご臨席いただき、祝辞を賜りましたが、日程の関係もあり参加者は多いとはいえず、残念ながら少々寂しい状況です。

四月に、百五十四名の学士課程入学者と、四十名の大学院修士課程入学者、十五名の博士後期課程進学・入学者を迎えました。また九月には、七名の学士課程卒業者、五名の修士課程修了者を送り出し、十月に修士課程に五名と博士後期課程に一名の入学者を迎えました。

入試では、新たに導入した「学校推薦型選抜」の応募者が二十一名、「総合選抜Ⅱ型」入試の文学部国際コースの応募者は十五名でした。多様な希望や背景を持つ学生を確保することで、大学院志願者の増加にもつなげていくことができれば、と願っています。

二〇二四年度の学府長賞には、大賞に森竹希望氏(英語学・英文学)が、優秀賞には Margaux Truus Gackiere氏(広人文学)、落合達哉氏(日本史学)、Alaa Mohamed Salem Abouze氏(言語学)の三名が選ばれました。

人文科学研究院の事業として、九州大学出版会から出版している人文学叢書に関しては、二〇二四年度の学府長賞大賞受賞論文である森竹希望氏のNominal Licensing and Agree in Syntactic Theory: The Default Feature Specification on the Phrase Heads and Its Theoretical Implicationsが刊行されました。

教員の異動について、二〇二五年三月をもちまして、岡野 潔教授(インド哲学史)と井手誠之輔教授(芸術学)が定年でご退職なさいました。また井口千雪准教授(中国文学)が京都大学人文科学研究所へ転出されました。採用・昇任については、二〇二五年四月一日付で鈴木 舞准教授(考古学)と、十月一日付で特定プロジェクト教員(外国人教師)のYannick Leon Winkelmann准教授(独文学)が着任されました。四月一日付で山下亜紀子准教授(共生社会学)と光藤宏行准教授(心理学)が教授に、二〇二六年一月十六日付で高橋沙奈美講師(共生社会学)が准教授に、それぞれ昇任されました。また人文科学府の担当教員として、大塚知昇准教授(言語文化研究院)に加わっていただいております。助教については、四月一日付で池田奈央氏と、Xプログラム関係の特定プロジェクト教員として水谷亮介氏が着任されました。このほか、全学の「高度情報専門人材の確保に向けた機能強化支援事業」の一環で、副専攻プログラムの人文情報学担当として藤田 郁講師(システム情報科学研究院)が着任され、人文情報連係学府にご協力いただいております。

二〇〇九年度に始まった朝日カルチャーセンター福岡との連携講座は、本年度も無事実施の運びとなり、歴史学コースによる「日本列島と朝鮮半島の交流史―先史から近代まで」と哲学コースによる「今こそ哲学―哲学・思想から読み解く世界の姿」を開講しました。また言語運用総合研究センターでも例年通り、国語教育セミナー・日本語教育セミナー・言語聴覚療法セミナーを行なっております。

末尾ながら、会員の皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。今後とも同窓生の皆様のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

(おんじょう あきお 一九八九年修了 地理学)

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