人文科学府 言語・文学専攻 西洋文学 分野
独文学 専修
博士演習 (単位数 1)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
博士演習A
SeminarA
講義題目  トーマス・マン『魔の山』研究(1)
教授 小黒 康正
科目ナンバリングコード:
講義コード:
2025 前期
毎週 金曜3限
伊都イーストゾーン 独文演習室 教室
J科目 (日本語, 日本語)
更新情報 : 2025/3/2 (14:32)
授業の概要 ノーベル賞作家トーマス・マン(1875-1955)の『魔の山』(1924)は、世界文学における「最高峰」の一つと言えましょう。この小説は実際に古今東西の文学の中でもとりわけ複雑難解であります。それにもかかわらず、いや、それだからこそ、人生において一度は登っておきたい「山」なのです。人はなぜ「山」に登るのでしょうか。そこに「山」があるからです。もっともこうした険しい山を一人で登るのはなかなか難しいかもしれません。私は「登山ガイド」として2024年5月に NHK の「100分 de 名著」に出演しました。その経験をいかしながら、皆さんと一緒に登頂をめざそうと思っています。

そもそも『魔の山』はいかなる小説でしょうか。スイスのダヴォースにある国際結核療養所ベルクホーフを舞台とし、七つの章を通じて主人公ハンス・カストルプの1907年から1914年までの滞在7年間を描きます。主人公は従兄弟のヨーアヒム・ツィームセンを見舞うために3週間の予定で結核療養所を訪れますが、自分自身も肺を病んでいることがわかり、長期滞在を余儀なくされてしまうのです。そこで彼が見たのは、微視的には世界各国から集まる患者たちの自堕落な生活と死が日常化した日々であり、巨視的には第一次世界大戦前のヨーロッパの社会的・政治的・精神的行き詰りであり、詰まるところ、デカダンスの時空でありました。

『魔の山』が示す時空は決して単なる虚構ではありません。なぜならば、私たち自身が今や病気と死の密封空間にいるからです。現代の世界でも、繰り返し感染症が蔓延し、各地でテロリズムや戦乱が絶えません。いまや私たち一人一人が『魔の山』の主人公ハンス・カストルプなのです。それだけに、私たちが『魔の山』を通じて、主要登場人物であるヨーアヒム、セテムブリーニ、ショーシャに、そしてナフタやペーペルコンと出会うことの意味は大きいと言えましょう。混迷を極める世界の中で、私たちは「ルート」を各自で見極めなければなりません。トーマス・マン生誕150年を迎える今こそ、『魔の山』の登頂をめざすときではないでしょうか。

(Hauptseminar: Thomas Manns "Der Zauberberg")
キーワード : トーマス・マン、『魔の山』、翻訳
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 :
特記事項 この科目はEU研究ディプロマプログラム(EU-DPs)指定科目です。同プログラムについては、以下のサイト(http://eu.kyushu-u.ac.jp/indexjp.html)をご参照ください。
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
G_B-1-3c [修士:文献の読解]
文学を対象とする領域では、過去に蓄積された重要な文献、とりわけ古典を厳密かつ精確に読解し、先行研究を踏まえつつその内実を深く掘り下げて説明できる。
対象作品をかなり精密に読解できる。 対象作品を精密に読解できる。 対象作品を概ね読解できる。 対象作品を充分に読みこなすことができていない。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ(2025年度版)   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ(2025年度版)
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ(2025年度版)   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ(2025年度版)
九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻・カリキュラムマップ(2025年度版)
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府歴史空間論専攻・カリキュラムマップ(2025年度版)
九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻・カリキュラムマップ(2025年度版)
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : 授業中に指示する。
参考書 : 授業中に指示する。
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 導入 演習
2 演習 演習
3 演習 演習
4 演習 演習
5 演習 演習
6 演習 演習
7 演習 演習
8 演習 演習
9 演習 演習
10 演習 演習
11 演習 演習
12 演習 演習
13 演習 演習
14 試験
15 予備日

成績評価
観点→
成績評価方法
G_B-1-3c
[修士:文献の読解]
備考(欠格条件、割合等)
授業への貢献度

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 :
学習相談 学習相談 : 本授業の終了後、ならびにオフィスアワー(火曜3限)にて相談に応じる。

授業以外での学習に当たって :

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)