朝鮮史学研究室
日本で唯一の専門研究室!朝鮮学の新たな構築へ
朝鮮半島にむきあう九州の地には、大陸と半島のヒトと文物がいきかい、文化遺産が蓄積しました。本研究室は、このヒトの交流と文化の蓄積の根底にある朝鮮の歴史・文化の探究をめざして、1974年の発足以来、研究・教育に大きな成果をあげてきました。近年、韓国・朝鮮への関心がたかまり、朝鮮半島をめぐる国際情勢も大きく動くなか、さらなる発展が期待されるところです。
これにこたえて本研究室では、国内外で刊行された研究資料を日本屈指の規模で架蔵しています。海外からの研究者の訪問や留学生も多く、研究室は国際的な交流の場となっています。教員・院生・学部生の各メンバーも、積極的に朝鮮半島やその他の関連地域におもむき、現地調査や学会参加、あるいは留学をつうじて、歴史の舞台に対する理解をふかめ、感性をみがいています。
また研究室では、九州大学朝鮮学研究会を組織して学術誌『年報朝鮮學』を刊行しているほか、自主的な勉強会も活発におこなわれており、各自のニーズに応じた学習が可能です。
その学問においては、史料を博捜し、これを精密に読解する堅実な文献実証を基礎にすえつつ、"書斎"から飛びだして現地の社会とふれあうことで、朝鮮半島に生きてきた人々の息吹が伝わってくる、"活きた歴史像"の構築をめざしています。朝鮮史学をこころざす皆さんも、ぜひ"行動派の本の虫"であってください。
教員
森平 雅彦 (MORIHIRA Masahiko) 朝鮮史学講座/教授
- 専門
朝鮮中近世史、朝鮮半島の環境史 - 専門分野
朝鮮中近世の国際関係や政治社会を研究。具体的には、東アジア諸地域との外交、文化交流、陸海の交通、およびそのもとで展開した国家の史的特質について追究してきた。近年は韓国で社会問題となった内水面の環境をめぐるヒトとの関係史について、漁撈、舟運などの資源利用を軸に考察している。 - 主要業績
『朝鮮の歴史ー先史から現代』(共著、昭和堂、2008年)
『モンゴル帝国の覇権と朝鮮半島』(山川出版社、2011年)
『中近世の朝鮮半島と海域交流』(編著、汲古書院、2013年)
『モンゴル覇権下の高麗ー帝国秩序と王国の対応』(名古屋大学出版会、2013年)
「朝鮮時代の洛東江上流における官営漁梁と資源をめぐる相克ー礼安県の事例から」(『朝鮮学報』259、2022年)
小野 容照 (ONO Yasuteru) 朝鮮史学講座/准教授
- 専門
朝鮮近代史 - 専門分野
植民地時代の朝鮮民族運動をグローバルな視点から研究。それと並行して近年は、スポーツイベントをはじめとする文化史、歴史認識に関する研究も進めている。 - 主要業績
『朝鮮独立運動と東アジア 1910-1925』(思文閣出版、2013年)
『帝国日本と朝鮮野球―憧憬とナショナリズムの隘路』(中央公論新社、2017年)
『韓国「建国」の起源を探る―三・一独立運動とナショナリズムの変遷』(慶應義塾大学出版会、2021年)