日本史学研究室
世界史的規模の斬新な構想と堅実な実証
国内史的分野とともに国際交流史研究の伝統が特色である。学生は全時代を見通しつつ、各自選択したテーマについて、歴史の「読み手」から「書き手」にまわることが要請される。そのため、講義・演習のほか、所蔵の史資料にもとづく実習、史料収集・整理などのフィールドワークが課され、春秋の構想発表会などを通じて卒業論文作成のコツを身につける。成績面では卒業論文が最も重視される。
学部在学中に中学校教諭一種免許(社会)・高等学校教諭一種免許(地理歴史)、学芸員資格を取得することができる。卒業後、専門知識を活かして教員・学芸員として活躍する者や、官公庁・民間企業の一般職として活躍する者が多い。
修士課程に進学した者は、少人数で濃密な議論を闘わせる授業や論文指導を通して、高度の専門知識と洗練された技倆を身につける。学部卒業時に中学校・高等学校一種免許を取得していた者は、所定科目の修得により専修免許を取得することができる。
博士後期課程に進学した者は、博士(文学)の学位取得を目指して研究に没頭する。近年は、学籍を置いたまま、高等学校教員・博物館学芸員などとして活躍する者も増えている。修了後、大学等研究機関の研究職として活躍する者も多い。
当研究室に事務局をおく九州史学研究会は、まもなく創刊70周年を迎える。機関誌『九州史学』は196号を超え、各部会の活動もさかんである。刊行物には、『境界のアイデンティティ』『境界からみた内と外』(ともに岩田書院、2008年)、『アジアのなかの博多湾と箱崎』(勉誠出版、2018年)がある。
教員
内田 敦士(UCHIDA Atsushi)日本史学講座/講師
- 専門
日本古代史 - 専門分野
日本古代の仏教儀礼について研究している。日本の仏教とそれに関する文化を、東アジアだけではなく、アジア全体の中に位置づけることで、日本の国家と社会の特質を明らかにすることを目指している。 - 主要業績
「南京三会の成立に関する再検討」(『日本歴史』795、2014年)
「平安時代の仁王会」(『ヒストリア』265、2017年)
「称徳朝における章疏の勘経」(『仏教史学研究』63-1、2020年)
荒木 和憲(ARAKI kazunori)日本史学講座/准教授
- 専門
日本中世史 - 専門分野
中世日本と東アジア諸地域との交流史を研究している。特に朝鮮半島との交流史について、対馬の地域史と結びつけて理解するよう努めている。また、九州政治史、海上交通史、東アジア比較古文書学などにも取り組んでいる。
- 主要業績
『中世対馬宗氏領国と朝鮮』(山川出版社、2007年)
『対馬宗氏の中世史』(吉川弘文館、2017年)
『中世日本の国際交流における海上交通に関する研究』(国立歴史民俗博物館研究報告223、編著、2021年)
岩崎 義則 (IWASAKI Yoshinori) 日本史学講座/准教授
- 専門
日本近世史 - 専門分野
大坂銅座の沿革と意義を柱とする近世の銅流通、および秋田・別子等の鉱山、更には貿易都市長崎の研究をすすめている。また、平戸藩の政治と文化について、楽歳堂文庫の書籍類を中心に研究を進めている。 - 主要業績
『長崎県内の多様な集落が形成する文化的景観保存調査報告書 資料編3 藩政資料』(長崎県、2013年)
“THE AKITA DOMAIN AND OSAKA MERCHANT HOUSES AT THE TIME OF THE ESTABLISHMENT OF THE MEIWA COPPER AGENCY ”,
『Trade and Commerce in the Eastern Chinese Sea: Early Modern Sino-Japanese Copper Trade 1650-1850』, Keiko Nagase-Reimer, Brill, 2015.
国分 航士 (KOKUBU Koji) 日本史学講座/講師
- 専門
日本近現代史 - 専門分野
明治期以降の天皇・皇室制度について、法と政治という観点から研究を進めている。特に、明治後期・大正期に行われた皇室制度改革、議会制と天皇・皇室制度の関係、東アジア社会における恩赦制度などに関心を持っている。 - 主要業績
「明治立憲制と「宮中」」(『史学雑誌』124編9号、2015 年)
「大正初期の「剰余金支出」問題」(『史林』98巻3号、2015年)
「大正期皇室制度改革と「会議」」(御厨貴編著『天皇の近代』、千倉書房、2018年)