2024年7月31日16:40~18:10 人社系協働研究・教育コモンズ企画オムニバスセッション「知の形成史#11」
記事投稿日:2024.07.10
イベント
7月31日に人社系協働研究・教育コモンズのオムニバスセッション「知の形成史」を開催いたします。皆さまご参加いただきますよう、お願いいたします。
第11回目は人文科学研究院から、井手誠之助先生をお呼びして、東アジア間の仏教美術の関わりについてお伺いしていきます。
▶ 日時:2024年7月31日(水) 16:40~18:10
▶ 井手誠之輔(九州大学人文科学研究院教授 芸術学)
異国に生きる―渡来仏画の作品誌―
研究者の間で、指定文化財の国籍や制作年について異論があるというと驚かれるかもしれません。その代表例となるのが中国や朝鮮から渡来してきた一群の仏画です。とくに古渡りとも称される江戸時代を迎えるまでに伝来した仏画は、室町時代以来の唐絵鑑賞のシステムを通して、著名な中国画人に結びつけられて評価され、近代以降は美術品として文化財に指定されてきました。宋元画の中から高麗仏画が再発見され、逆に見いだされた高麗仏画をやはり中国画とみなす意見も併行し、日本製の可能性を含めて国籍が揺らぐという現象は、異国に生きることを宿命づけられてきた存在が具有する曖昧な境界性に起因しているようです。
渡来仏画に立場を変えてみると異なる世界が広がります。渡来仏画にとって、近代的な意味での国籍よりもっと肝心なことは、その存立を可能にした故郷における文化的・社会的な背景です。人と同じく、懸案の仏画の国籍を剥ぎ取ったときに私たちは何をどのように語りうるのでしょうか。素性がわかれば、さまざまな時空を跨いできた移動の旅は、異文化間における多様な価値観との接触の記録として再認識され、人文諸科学に対して魅力的なアーカイヴを提供するものと期待しています。
▶ 伊藤幸司(九州大学比較社会文化研究院教授)
▶ 司会:小島立(九州大学法学研究院教授)
▶ 場所:九州大学伊都キャンパス E-C-203会議室
オンライン会議形式(Zoom)
▶申込方法:下記サイトへアクセスして、事前登録をしてください。
https://commons.kyushu-u.ac.jp/collaborative/events/event_27.html
▶お問合せ先:九州大学 人社系協働研究・教育コモンズ
Email: enquiry-commons★cmns.kyushu-u.ac.jp(★を@に変更してください)